労務費に関する基準とは
最終更新
要点
2025年12月12日に全面施行された改正建設業法により、中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作成し、国土交通省が工事の種類ごと・都道府県ごとの基準値を公表しています。 この基準を踏まえた「通常必要と認められる労務費」を著しく下回る見積や契約は禁止されました(受注者・注文者の双方が対象)。
基準値の計算方法
基準値は、工事の種類ごとに「単位施工量あたりの労務費」(円/t、円/㎡など)として示されています。
基準値 = Σ(職種ごとの施工単位当たり歩掛 × 公共工事設計労務単価)
円未満は四捨五入。歩掛は全国共通で、設計労務単価は都道府県・職種ごとに毎年改定されます。
例: 東京都の鉄筋加工・組立(RCラーメン構造・階高3.5〜4.0m程度)は、普通作業員 0.38人日/t × 27,000円 + 鉄筋工 1.88人日/t × 33,800円 = 73,804円/t です。 20t の工事なら、労務費の基準額は約147.6万円になります。
必要経費は基準値に含まれない
基準値には、法定福利費の事業主負担分・労務管理費・安全管理費・宿舎費などの「建設労働者の雇用に伴い必要な経費」が含まれていません。 国土交通省は、この経費を基準値の48%として加えた額を参考値として公表しています(上の例では 109,230円/t)。実際にどちらがどこまで負担するかは、契約当事者間で決めます。
対象の工事(22職種分野・133種類)
基準値は段階的に追加されており、2026年9月時点で 型枠、鉄筋、左官、潜かん、橋梁、造園、住宅分野、電工、とび・土工、空調衛生、切断穿孔、警備、計装、塗装、内装、板金・屋根ふき、解体、防水、さく岩、タイル・サッシ・ガラス、エクステリア、上下水道 の工事について公表されています。 一部の工事の種類は、金額ではなく「適正に見積もった歩掛 × 設計労務単価」という考え方だけが示されています。
価格交渉での使い方
- 見積の工事内容に当てはまる工事の種類と、現場の都道府県を選ぶ
- 数量をかけて労務費の基準額を出す(計算ツール)
- 見積や提示された金額の労務費と比べ、下回る場合は基準額と計算の根拠を示して協議する
- 標準的な条件と異なる現場(特殊な気象条件・現場の制約など)は、歩掛を補正して見積もる
「著しく低い」かどうかは、国土交通省の運用方針にもとづき個別の事案ごとに判断されます。当サイトは基準値との比較を示すだけで、違法かどうかの判断はしません。
出典: